旅風呂~たびブロ

旅の思い出などを綴ります

上海 1

19歳、

初めての海外旅行は
船での旅でした。

 

今から32年前、
横浜港・大桟橋から3泊4日
約70時間かけて上海まで。

 

 

出発当日は

曇った秋の日の午後のことでしたが、

埠頭には、横浜から上海までを結ぶ
大型の定期客船「鑑真号」が、
2ケ月に一度の姿を見せていました。

 

 

この出発の日から遡ること3ヶ月前、
ある夏の日、私は先輩二人と
葉山の海を泳いでいました。

 

先輩のうちのひとりは

バックパッカーの旅を終え、
中国から帰国したばかりでした。

 

社会主義体制である中国を
一人で旅した先輩の話しに
私は夢中になり、

 

海で泳ぐのもそこそこに、
砂浜で立ったまま
その話しに聞き入りました。

 

 

それまで海外を旅すること、
まして、自分一人で
自由に旅することなど
考えたこともありませんでしたが、

 

先輩の話を聞いているうちに
なんだか自分にも
できそうな気がしてきました。

 

そして、具体的な旅費の話しを
聞き終える頃には、
すっかりと行く気になっていました。

 


帰宅後、早速、旅の計画に
取りかかりました。

 

行き先は私も中国にしました。
先輩の話でイメージはできています。

 

中国への行き方は2種類あるとのこと。
飛行機と船です。

 

値段を調べてみると、
飛行機だと往復10万円超、
船だと片道26,000円で行けます。

 

お金はありませんが
時間はたっぷりある学生の身だったので
とりあえず船で上海に行くだけ行って、

 

帰りのことは中国で考えようという
アバウトな計画をとりあえず立てました。

 

そうすると旅の時期は
次の船が横浜から出る10月と
自動的に決まりました。

 

 

親に旅の計画を話し
了解を得て、

 

バイトでお金を貯め、
パスポートを取り、
必要な旅行道具を買い集め、
出発当日をむかえました。

 

 

準備をしている時は
ワクワクした気分で
非常に楽しみにしていましたが、

 

出発前日あたりになり
旅が現実的になり始めた頃から、
準備はこれで十分かなど考え出すと
次第に緊張感が増してきました。

 

当日、私は数日分の着替えと
簡単な旅道具を詰めた
大型の登山ザックを肩に担ぎ、
電車を乗り継いで関内駅へ到着し、
歩いて大桟橋へ向かいました。

 

桟橋のターミナルで

必要な手続きを済ませ、
私はひとり、鑑真号に乗船をしました。

 

 

【続く】